(釧路新聞へ掲載)

飯館村の『太陽』

今も避難生活を強いられている福島県飯館村では、
約200匹の犬と400匹以上の猫が村に取り残されているそうです。
仮設住宅はペット禁止のため連れて来れないそうで、
先日自宅に残された犬「太陽」と飼い主さんの様子をテレビで見ました。

飼い主さんは週に2度、車で1時間かけて太陽の世話に通っていますが、
他の飼い主さんたちもボランティアなどの力をかりて、村に通い世話をしているとのことでした。
飼い主さんが来た時は大喜びしていた太陽ですが、
帰る時はそばから離れ、飼い主さんが去って行く姿を見ないようにしていました。
「子どもと別れるように辛い。」と涙をこぼして飼い主さんが話していましたが、
太陽も去って行く飼い主さんの姿を見るのが辛くて、目を背けているのでしょう。

大地震の恐怖の後で、突然取り残されてしまってから、もう少しで3年になろうとしていますが、
誰も居ない家で飼い主さんを待ち続けて暮らす太陽の3年は、
人間以上に長く感じる日々だと思います。
もし、私が飯館村の人たちと同じ立場に置かれたなら…
飼い主さんと犬猫たちのことを思うとやり切れない気持ちになりました。

例年に無く何日も続いた吹雪が弱まったので、犬たちと一緒に
散歩に出たところ、ときどき風の音が唸り声を上げて怒っているように聞こえました。
原発事故は地震により起きましたが、人災により被害は拡大し、
いまだに多くの人が苦しみ、たくさんの動物たちの命が奪われたのに、
日本はどこに向かおうとしているのだろう、異常気象による痛ましい災害は、
いつまで立っても大切なことに気づかない人間に、
天が自然の力を使って警告をしているのではないだろうかと思いました。

太陽のように周りを明るく照らしてほしいと、「太陽」という名前を付けたそうですが、
飼い主さんがだんだん痩せてきた太陽を心配していました。
一日も早く、飼い主さんの心の晴れる日がくることを願うばかりです。

記2月20日
  ドッグレスキューしおんの会 代表・福澤