(釧路新聞へ掲載)


老犬チビタと命の大切さを伝えて行くことについて

2月に保護した15才のチビタは飼い主が保健所に持ち込んだ犬です。
チビタを含め5匹の犬を保健所に持ち込んだ飼い主から事前に相談の電話があり、
安易に保健所に連れて行かず新しい飼い主を探す努力をしてほしいとお願いしましたが、
その後まもなく保健所に収容された事を知り、無責任に犬を増やし
何の努力もせず放棄した飼い主に憤りを感じました。

このように飼い主が保健所に持ち込む犬は多く、
平成22年度釧路保健所に収容された犬、275匹のうち76匹は
飼い主放棄の犬で収容数の四割近くを占めています。

年間約1,000匹の犬猫を殺処分していた熊本市動物愛護センターが
処分数を減らす取り組みとして最初に始めたのが、安易な引き取りを断る飼い主責任の徹底でした。
市民と協力して様々な活動を行い処分を減らし実績をあげた同センターは、
不可能を可能にした動物行政として知られています。
また全国に先駆けて人と動物が共生できるよう、
最後までペットを飼う責任の大切さを定めた動物愛護条例を制定し6月1日から施行されました。
これにより動物を飼う人も飼わない人も、心地よく暮らせる町づくりの実現を目指しています。

先日、動物が大好きで動物の虐待を無くすために、
子ども達に命の大切さや重さを伝える働きがしたいという青年が訪ねて来ました。
犬が大好きで犬の命を救うために始めたしおんの会ですが、
今は次代を担う子ども達のためにも大事な活動だと思っています。
私達と同じ願いを持ち真剣な瞳で語る青年は、活動を共にする約束をして帰って行きました。

すべての犬を救ってあげられないのが一番辛く切ない事ですが、
成犬の飼い主を見つけるのは難しく、まして高齢犬では飼い主が見つかるかどうか…
老犬チビタを保護する時はずいぶん悩みましたが、
それを承知で預かりを引き受けて下さる方が現れました。
老犬とは思えないほど元気になったチビタの幸せを願う毎日です。


記6月4日
  ドッグレスキューしおんの会 代表・福澤