(釧路新聞へ掲載)


ロンと愛犬の死について

3年前に譲渡したロンの飼い主Sさんから手紙が届きました。
ロンは農家のD型ハウスに野犬が生んだ子ですが、兄弟7匹の中で一番小さくて人懐っこく、
子犬の世話をしてくれた農家さんが「こまめ」と呼んで可愛がってくれました。
Sさんにもらわれロンと改名し、体も大きく立派に成長した写真を頂いていましたが、
手紙はロンが亡くなった事を知らせるものでした。

ロンが1才の時に天疱瘡という病気を発症し、お医者さんから3〜4年の命と宣告されたこと、
それでも必ず治ると信じて病気と闘ったこと、
最期はテレビを見ていたSさんの膝の横で眠ったまま静かに息を引き取ったこと…。

ロンの死を私に伝えるのを奥さんから止められていたそうですが、
寂しさや悲しさ無気力感におそわれ、
誰かに話さなければどうにかなってしまいそうで…と心情が綴られていました。

私も3年前に愛犬を亡くしましたので、Sさんの気持ちや状況がよくわかりました。
愛犬が死んだ事を頭では分かっているのですが、心では死を受け入れる事ができず、
朝目覚めて「どうして居ないのだろう?」と思っては、
死んだ時の記憶がよみがえり苦しみに襲われるという日々でした。
亡くなった当初は死んだ時の様子ばかりが浮かび、
この悲しみがいつか消える日はくるのだろうかと思われましたが、
月日が立つにつれ元気だった頃の愛犬の姿を思い出す方が多くなり、
今では空の上から見守ってくれていると思えるようになりました。

お日さまの光に当たる事も体を濡らす事もできない難病にかかってしまったロン…
体は辛く苦しかったと思いますが、Sさん家族の愛情でロンの心は満たされていたと思います。
今ごろは体の痛みからも解放され、仲間たちと一緒に天国の野山を元気に駆け回っていることでしょう。

「不幸なワンちゃんがいなくなることを祈ります」と手紙の最後に書いてくれたSさん。
犬や飼い主さんの心に寄り添えるような活動がしたいと思いました。


記7月25日
  ドッグレスキューしおんの会 代表・福澤