(釧路新聞へ掲載)

オリオンと動物虐待について



もう少しで1才になるオリオンに、なかなか飼い主さんが
決まらずにいましたが、念願の飼い主さんが現れ譲渡しました。

ところが一週間程して飼い主さんから連絡があり、
仕事着のつなぎを着るとオリオンが豹変し、攻撃的になるというのです。
譲渡した日、飼い主さんの車に大人しく乗り、しっぽを振るオリオンを
「いい犬だな!」と思ったそうですが、その日もつなぎを着た途端に
ひどく吠えたとの事でした。
人が大好きで体中で喜びを表すオリオンが…?

この事を預かりボランティアさんに話し、詳しくお話を聞いたところ、
つなぎを着たある男性がオリオンのそばに行き、
吠えられた腹いせに蹴ったとの事でした。
その事がオリオンが豹変する原因と思われますが、
犬は一度怖い体験をすると、それがトラウマになり
同じ場面になると恐怖心が蘇り、防御するために攻撃的になる場合があります。

つなぎを着た人=危害を与える人、とオリオンに植え込まれたと
思いますが、すぐにオリオンを引き取りました。
短い間でも懐いたオリオンを返したくないと、飼い主の娘さんたちが
言ってくれたそうで本当に残念に思いますが、
オリオンの心の傷をケアをしてあげたいと思います。

世界で最も動物福祉が進んでいるイギリスのアニマルポリスが言っています。
「動物も人間も同じように感覚を持つ動物です。
もし動物が苦痛を伴っているのに、人々がそれを無視するならば、
人々は人間の苦しみまでも無視するようになると思います。
だから動物虐待を認める事はできないのです」


昨年度、児童相談所に寄せられた相談は6万件を越え、
22年前から比べると60倍に増えたそうで、虐待で命を落とす子供も年々増加し、
守るべきはずの親による悲惨な事件が後を絶ちません。
親を信じ頼るしかない子供と、飼い主で幸不幸が決まる犬猫たちは、
同じ境遇にあるように思います。

全国各地で大雨が降り痛ましい被害が広がっていますが、天が悲しみ泣いているのでしょうか。

8月11日記

  ドッグレスキューしおんの会 代表・福澤