(釧路新聞へ掲載)


犬のトラウマと問題行動について

恐ろしい体験やショックなことがトラウマとなり、苦しんでいる人がたくさんいますが、
東日本大震災で津波の被害に遭った子供の中には、今でも風呂に入りたがらなかったり、
水を飲むのを嫌がる子もいるそうです。命の源の水がトラウマの要因とは
切ない話ですが、子供たちの心の傷が癒える日を願っています。


人間だけでなく、トラウマを持った犬もたくさんいます。
特に子犬の時に虐待を受けた犬は何年立っても人が怖く、
犬を撫でようと伸ばした手=叩かれると思い、
それを避けるために攻撃的な行動を取ったりします。

わが家のリオンも子犬の時に乱暴され、3才になった今でも唸ることがあります。
犬が人に抵抗するのは、立場が飼い主より上にあるからで、
服従させなければいけないと、以前は多くのしつけ本に書いてあり、
私も前は「ダメ!」と叱っていましたが、今は「リオン、大丈夫だよ」と優しく言っています。
リオンが唸る原因は、私のことが嫌なのではなく、
乱暴された時の心の傷が唸る行動を取らせていると気づきました。
「ダメ」と叱っていた時は、しばらく近づいて来なかったリオンですが、
「大丈夫だよ」と言うようになってからは、私の傍に来て甘えるようになりました。
普通にさわれるようになるまで1年近くかかったリオンは、
甘えることなく子犬の時期を終えてしまいましたが、その時の分を今取り戻しているようです。
人を咬んだり唸ったりすることなどは犬の問題行動と言われていますが、
問題行動には必ず原因があり、その原因が分かれば多くは改善できます。


また、札幌で犬猫の行動治療を専門にクリニックをされている小田健郎先生が
仰っていましたが、病気が原因で問題行動をする場合もあり、
先生の所に来る前に動物病院で診察を受けて貰っているそうです。

私もそうでしたが、叱ってばかりでは人も犬も楽しくありません。
飼い主さんは愛犬の気持ちを理解してあげて、共に幸せに暮らしてほしいと思います。



11月11日記

  ドッグレスキューしおんの会 代表・福澤